バイクの神様に選ばれて 松崎祐子(後編)/aheadアーカイブス vol.190 2018年9月号

2018年4月にバイクやクルマ好きの女性に向けた情報サイト『Lady Go Moto!』を立ち上げたバイク女子でもある松崎祐子。どんな想いでサイトを作るに至ったのか……彼女を知るカーライフジャーナリストのまるも亜希子がインタビュー。(「ahead」2018年9月号より転載)


ーーーーー前編を読むーーーーー


そして編集部の誰もが驚いたのが、そのあとに続く愛車遍歴である。SRの後に18年くらい乗っていたというヤマハ・セロー225は、スクランブラー風にカスタムされたオレンジブルバードのコンプリートバイク。軽くて機敏で、もはや体の一部のようだったという。次は当時お付き合いしていた彼の影響で、大型免許を取ってまで乗り換えたハーレー・FXE。'79年ごろの、なんとショベルヘッドと呼ばれるモデルに乗っていたという。女性が乗ることが全く想定されていない本物志向のクラシックバイクだが、古い機械を動かしているという感覚がたまらなかったらしい。その後、ハーレー・スポーツスター(883)、なんともツウ好みなドゥカティ・ムルティストラーダ1000Sときて、現在はドゥカティ・スクランブラー。どれも、決してファッション感覚だけで乗れるわけではない。センスの良さが光ると同時に、松崎さんが本気のバイク好きであることを物語る愛車遍歴である。

松崎さんが乗ってきた愛車の数々(左上から時計回りに)ドゥカティ ムルティストラーダ 1000S/ハーレーダビッドソン 883(91年式)/スマート ロードスター/チェロキー リミテッド/セロー 225 (オレンジブルバード コンプリートモデル)/アルファロメオ スパイダー(現在所有)/ハーレーダビッドソン FXE(ショベルヘッド)


バイク便を辞めてから、トリマー学校に通って動物病院で働いたり、ピンときたものに飛びついては、飽きて辞めるというフラフラな日々だったが、バイクが生活の中心にあるスタイルはいつも変わらなかった。そして登録した派遣会社で偶然、『カーグラフィック』編集部内の雑務をする仕事を見つけたことで、松崎さんの運命が大きく動いていく。編集者・松崎祐子が誕生するのはさらにその6年後になるが、そこから公私ともにどっぷりとバイク漬けの日々が始まる。  


取材や撮影でいろんなバイクに乗り、メーカーの人たちの話を聞き、情報を発信する側になった松崎さんは、ある想いを強くしていった。 


「基本的にバイク雑誌は、女性ライダーに向けた記事が少ないんです。バイクの横にモデルさんが立ってニッコリ、というのはよくあるんですが、それって女性は求めてないですよね。そこで、2011年に『MOTO BEAUTY』という女性ライダーに向けた雑誌を作りました。いろんな反響をいただいた中で、やっぱり女性ライダーのための情報を求めている女性は多いんだ、と実感したんです」  

現在の愛車であるドゥカティ・スクランブラー。

男性目線ではなく、女性が本当に知りたい情報を女性の立場から発信する。それによって、女性ライダーがもっと快適にバイクに乗れたり、輪が広がったら良いな、と。その想いを形にするにはどうしたらいいのか、松崎さんは長いこと模索していたという。そして、フェイスブックで立ち上げた「バイク女子部」が盛り上がり、そこから実際に会ってリアルに繋がっていける素晴らしさ、面白さが松崎さんの背中を押した。相互コミュニケーションの場としては「バイク女子部」がある。では、そこで飛び出した女性ライダーたちの悩みや求めるもの、役立つ情報などを発信する場があれば、もっと彼女たちを応援できるはず。そうして誕生したのが『Lady Go Moto!』だ。  


例えば『Lady Go Moto!』に掲載されている記事には、こんなものがある。「バイク女子のためのビューティケア(番外編)」として、ヘルメット内側がファンデーションなどで汚れてしまう悩みを解決するのは、「あせワキパット」を貼るのが効果的と紹介。これこそ、女性たちが本当に求めている情報、松崎さんにしかできない発想である。 


「今はまだプレオープン状態で、これからもっと充実させて、できればビジネスになるように育てていくことが目標です。でも、飽きっぽい性格なので(笑)、自分一人でなく、バイク女子の仲間と一緒に盛り上げていけたらと思っています」  


松崎さんは飽きっぽいと言うが、誰もそんな風には思っていないだろう。確かにフラフラしていたかもしれないが、後先考えずに一歩踏み出すパワーと、違うと思ったら流されずに辞めるパワーは、きっと同じくらい重い。カッコいいと思ったことに一途で正直な松崎さんだからこそ、それができたのではないだろうか。『Lady Go Moto!』は、その積み重ねの集大成。松崎さんは必ず、ここでもそのスジ金入りの「カッコいい」を貫き、女性ライダーを盛り上げてくれるはずである。


【プロフィール】 

松崎祐子/Yuko Matsuzaki 

バイク雑誌「MOTO NAVI」や自動車雑誌「NAVI CARS」の編集部に約10年在籍。その後、国内外の二輪四輪アパレルをセレクトする「Motorimoda」でPRを担当。バイクやクルマ好きの女性のためのメディアを作りたいと2018年に独立。webメディア「Lady Go Moto」を立ち上げた。www.ladygomoto.com 


文/まるも亜希子 写真/長谷川 徹、松崎祐子 <aheadアーカイブス vol.190 2018年9月号>


Lady Go Moto !

女性ライダーのためのWebメディア。女性ライダーが知りたい情報を女性視点でお届けしていきます。オートバイのある生活をいかに楽しむか。ハードウェアのみならず、ファッションやライフスタイルなどについても取り上げていきます。

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