バイクの神様に選ばれて 松崎祐子(前編)/aheadアーカイブス vol.190 2018年9月号

2018年4月にバイクやクルマ好きの女性に向けた情報サイト『Lady Go Moto!』を立ち上げたバイク女子でもある松崎祐子。どんな想いでサイトを作るに至ったのか……彼女を知るカーライフジャーナリストのまるも亜希子がインタビュー。(「ahead」2018年9月号より転載)


バイクの神様に選ばれし女性。堀ひろ子さんや三好礼子さん、腰山峰子さんといった偉大なる女性ライダーを知るたびに、そうした女性は確かに存在するのだ、という想いが深まった。そして、惚れ惚れするカッコよさでドゥカティ・スクランブラーにまたがり、編集部に現れた松崎祐子さんもまた、間違いなく選ばれし女性のひとりである。

ヘルメットを脱げば、パッと周囲が華やぐような笑顔が輝く。誰にでも礼儀正しくて、人の話をちゃんと聞ける大きな器と、サッと行動に移せる機敏なバネを持ち合わせた松崎さんの周りには、いつも多くのライダーたちが集う。2013年にフェイスブック上のコミュニティ「バイク女子部」を立ち上げ、すでに参加者は1700人を超えた。ちょうど1000人になった時に仲間とともに開催した「バイク女子部」のミーティングには、実に80人もの女性ライダーが駆けつけたという。 

 

その後も不定期でイベントを開催しているが、参加者の中には「本当に女性が主体でやっているので来ました」と言ってくれる女性も多いという。“女性だけの”と謳うイベントは数あれど、実は裏で男性が手を引いていた、という話は少なくない。女性が女性を見る目は厳しく、一度「ああ、やっぱり」と思われたら二度目はない。「バイク女子部」が続いているのは、松崎さんが心から、女性ライダーたちを応援したい、役立つ情報や交流の場を届けたい。そうした想いで自ら行動しているからだろう。  

2018年4月に開催したバイク女子部ミーティング (http://www.ladygomoto.com/posts/4157398?categoryIds=1041958)
モトガールズリビカ(ツインリンクもてぎが運営する女性ライダーの会員制度)とバイク女子部がコラボし、ツーリング&サーキット走行体験を企画


そんな松崎さんは今年4月に、バイクやクルマ好きの女性に向けた情報サイト『Lady Go Moto!』を立ち上げた。クルマに特化した女性向けサイトはいくつかあるが、バイクをメインとする女性向けサイトはほとんどない。まさに、編集者として『MOTO NAVI』をはじめとする二輪・四輪雑誌の制作に長く携わってきた松崎さんにしかできないことである。  


しかし2年ほど前に、編集者を辞して二輪四輪好きのためのセレクトショップ「モトーリモーダ」の広報担当に転身した松崎さんは、こう語っていた。 


「バイク業界のメディアって、クルマに比べ若いスタッフが多いんです。そしてやっぱり編集の仕事はハード。40代も後半になった時にこの先5年、10年とやっていくのはかなり辛いんじゃないかな、という不安が大きくて」  


女性が自分の力で生きていくには、ただ「やりたい」という気持ちだけでは務まらないこともある。仕事に真摯に向き合い、その責任の重さを理解している松崎さんだからこそ、出した答えだったのだろうと感じていた。  


それでも松崎さんは、再びバイクメディアに戻ってきた。しかも、サイト運営という大変な作業をゼロからスタートしたのである。そこにはどんな決意があったのか、話は松崎さんとバイクの出逢いにさかのぼる。 

バイクウェメーカーの「カドヤ」からリリースしていた女性ライダー向けのブランド『any-k』。松崎さんも企画に関わったという。

日本海に面し、世界遺産の五箇山合掌造り集落や黒部渓谷といった、美しい日本の原風景や壮大な自然を有する富山県。そこに生まれた松崎さんは、1歳上の姉と3歳下の妹を持つ三姉妹として育った。幼い頃からファッションが大好きで、当時絶大な影響力を誇ったティーン向けファッション誌『オリーブ』や『mcシスター』が愛読書。将来の夢はファッション関係の仕事に就くことで、クルマやバイクに興味を持つことはまったくなかった。そして専門学校でファッションを学ぶべく、上京したのが18歳のことだった。  


しかし20代の頃は、松崎さん曰く「面白そうと思ったことにすぐに飛びつくけど飽きっぽくて、フラフラしてた」日々。専門学校は辞め、職を転々としながら、音楽も好きだった松崎さんは当時人気だったモッズ系バンドにのめり込んだ。ロンドンを発祥として60年代に世界中の若者たちに影響を与えたモッズのライフスタイルには、スクーターがお決まりのアイテム。その姿に憧れたのが、バイクと松崎さんとの出逢いだった。ライトがたくさん付いたスクーターに乗るモッズと、バイクに乗るロッカーズの対立が見どころでもあるイギリス映画『さらば青春の光』を観て、さらにスクーターに惚れ込んだ松崎さんは、自分も乗りたいと教習所に通い始める。 


「憧れていたのはランブレッタのスクーターだったんですけど、教習所でギア付きのバイクに乗ったらそれが面白くなってしまって、結局、免許を取って最初に買ったのはヤマハのSR。未だにスクーターは所有したことがないんです」  


SRと言えば、昨年、惜しくも生産が休止されたが、名車中の名車であると同時に、これぞバイクの原型と呼びたくなるような、美しく整ったデザインにもファンが多い。バイク選びの基本は今も昔も変わらず、見た目、ファッションを優先する松崎さんらしいが、SRの特徴でもあるキックスタートをさして苦にせず、そのSRでバイク便のアルバイトまでやっていたというから恐れ入る。

インタビューと別日に行われた撮影にはロードバイクで登場。


ーーーーー後編を読むーーーーー


【プロフィール】 

 松崎祐子/Yuko Matsuzaki 

バイク雑誌「MOTO NAVI」や自動車雑誌「NAVI CARS」の編集部に約10年在籍。その後、国内外の二輪四輪アパレルをセレクトする「Motorimoda」でPRを担当。バイクやクルマ好きの女性のためのメディアを作りたいと2018年に独立。webメディア「Lady Go Moto」を立ち上げた。www.ladygomoto.com 


文/まるも亜希子 写真/長谷川 徹、松崎祐子 <aheadアーカイブス vol.190  2018年9月号>



Lady Go Moto !

女性ライダーのためのWebメディア。女性ライダーが知りたい情報を女性視点でお届けしていきます。オートバイのある生活をいかに楽しむか。ハードウェアのみならず、ファッションやライフスタイルなどについても取り上げていきます。

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