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【GSトロフィー国際予選】抜群のバランスライダー、水谷あい選手「GSで国境を越えた世界」とは

全3回にわたりお届けしてきたBMW Motorradインターナショナル GSトロフィー 女性チーム国際予選2019の最終回は、抜群のバランスライダー 水谷あい選手のインタビューです。

バイク トピックス
参加者で最年少のあいさんとフランスでゲストハウスを営むチャーミングだけどとてもパワフルな最年長シルビア。その年齢差は、なんと34歳
  • 参加者で最年少のあいさんとフランスでゲストハウスを営むチャーミングだけどとてもパワフルな最年長シルビア。その年齢差は、なんと34歳
  • ベルギーでお世話になったピエットとアネリスご夫婦
  • ピエットさんの所有する廃材置き場で一本橋や小回りなどの練習に励んだ
  • 失敗しないこととスピードとのせめぎ合いを繰り返しながら強みを生かしたライディングができたオフロード走行
  • 競技中転倒して指を痛めていたためヘルプを頼んだあと。30秒の加点はされてしまうけど、近くにいる仲間が我先にと助けに来てくれた
  • 南アフリカでの大会中のグループもその後のツーリングでも一緒だった、仲良しのステファニーと
  • ただGSに乗っているだけでは出会うことのできなかった、国境を超えた世界のトップ選手たちとの出会い
  • 3時間前までエンデューロパークで砂まみれになりながら走行していたとは思えないくらい優雅な雰囲気での結果発表。悔しい気持ちは胸の中にしまって、最後まで特別な時間を楽しんだ

全3回にわたりお届けしてきたBMW Motorradインターナショナル GSトロフィー 女性チーム国際予選2019の最終回は、抜群のバランスライダー 水谷あい選手のインタビューです。

「人生がとても豊かになった」。物覚えが付いた頃には父のバイクの後ろに乗っていたというあいさん(愛称で呼ばせていただきます)。その父とは、言わずもがな2014年のInternational GSトロフィー日本代表であり、オフロード用品店『ツアラテックジャパン』の代表でもある水谷太郎氏。そんな英才教育で育ったバランス感覚抜群のあいさんが、2度目の舞台で見た景色とは。

チョコとワッフルとF850GSと。ベルギーでの最終調整

ベルギーでお世話になったピエットとアネリスご夫婦
始まりはベルギーから。というのも、父の友人のベルギーGSライダー(夫婦)にお願いして、今大会の競技車両で練習する機会ができたからでした。

あいさんの所有するバイクはR1200GSという1200ccで競技車両が850ccですので楽になるのかと思うところですが、乗り味も特徴も違うそうです。特に重要なポイントになるシート高は、R1200GSは800mmに対し、F850GSは860mmで6cmも高いのです。

ピエットさんの所有する廃材置き場で一本橋や小回りなどの練習に励んだ
実際、3日間練習に励んだところ、R1200GSの重心が安定しているのに対して、850ccは不安定に感じましたが、それでもやはり軽いので、ゴロゴロした石の上ではハンドル操作は楽に感じたそうです。

ベルギーでの、おいしいチョコレートとワッフルの補給もして、本戦へ挑むのに相応しい準備も整いました。 

想像していた得点法でなかったショック

失敗しないこととスピードとのせめぎ合いを繰り返しながら強みを生かしたライディングができたオフロード走行
「いい感じに、乗れた」

1日目、「今日は、結構いけてる」と思っていたのに、想像以上に点数が低い結果になってしまい、何でなのかがサッパリわからずオフィシャルに聞きに行きました。すると、ショックな回答が伝えられました。

前回の南アフリカの時は、ミスがあるとペナルティとしてどんどん減点されていったのに対して、今回は、加点法だというのです。例えば、ヘルプを頼んだらプラス30秒、脚付きしたらプラス10秒というような具合です。

足をつかないとか安定走行とかバランス走行などといった正確なライディングが得意なあいさんなので、ミスなく終われたこの日は「高得点が取れた」と予想していたのですが、スピードが足りていなかったようです。

競技中転倒して指を痛めていたためヘルプを頼んだあと。30秒の加点はされてしまうけど、近くにいる仲間が我先にと助けに来てくれた
2日目以降は、スピードアップを意識しながらの走行に切り替えていきました。普段スピードを意識して走ったことがなかったため、思わぬ箇所での転倒は増えてしまいましたが、他の選手が足付きしたコースをあいさんだけがクリアするという場面では「よし!」と自信を取り戻し、あいさんの強みを生かしたライディングがここでは十分に発揮できたそうです。

晴天のニュージーランドの空の下で国境を越えた仲間とのキズナ

南アフリカでの大会中のグループもその後のツーリングでも一緒だった、仲良しのステファニーと
南アフリカでは、急なゲリラ豪雨や稲妻などの天候に苦戦しながら、ハードスケジュールの中で競技をこなしたのと比べると、スペインでは好天に恵まれました。

雲ひとつない見事な晴れ間が続く中、エクササイズも一日3~4個と少なめだったために、他の選手のライディングが見られたり、他国の選手やメディアの方と十分に会話する時間があったりと、ゆっくり過ごせたのがとても良かったそうです。

ただGSに乗っているだけでは出会うことのできなかった、国境を超えた世界のトップ選手たちとの出会い

平均気温が24~25度くらい。暑いけれどちょっとした日陰に入ると涼しいという抜群の気候の中、エンデューロコースへの移動の山道も、適度のアップダウンとどこまでも続く絶景のプレゼントがありました。選手の観光も含まれているかのような、あたたかなおもてなしを感じたそうです。

また、フランスやモロッコ、メキシコの選手などとの新しい出会いや、南アフリカで戦ったメンバーとの再開と、過酷なチャレンジをともにした国境を超えた選手とは、深い絆で結ばれていることに、改めて気づくことができました。

とくに、南アフリカで一緒に戦ったアンドレアが5位で本戦へ出場が決まったことは、自分のことのようにうれしかったと振り返ります。アンドレアは、かなりの努力家で、人前だと上手く走れないという苦手を練習を重ねて克服したことで本戦に行けたのだと想像し、その姿を見て感銘を受けたと話してくれました。

女性はチャンス。トロフィーへのチャレンジ

3時間前までエンデューロパークで砂まみれになりながら走行していたとは思えないくらい優雅な雰囲気での結果発表。悔しい気持ちは胸の中にしまって、最後まで特別な時間を楽しんだ
南アフリカでは、大学生だったあいさん。前回の予選大会の後は、BMW Motorradが準備していたツーリングに参加していました。

今回も有志でのツーリング企画があったそうですが、社会人2年生で、先にベルギー入りのために休みを取得していたので残念ながら参加できなかったそうです。

そんな、自身の環境が大きく変化しながら、2度の世界を経験したあいさんが、GSトロフィーに参加して人生観が変わったと話します。

戦いであるのに選手同士の絆が深まるというのがGSトロフィーの魅力の一つ
「GSトロフィーへの出場は、国境を超えた新しい出会いというすばらしい経験に繋がりました。GSにただ乗っているだけだったら、得られないものです。

今回は2回目の挑戦ということで、本気で本線に進みたいと思って参加したため悔しい思いもしました。

しかし、GSトロフィーへ挑戦したことで、仲間内だけでバイクに乗っているだけでは出会うことのない人々にめぐり会うことができたのです。さらに、全員GSに乗ってトロフィーに挑戦しているという共通点があるので、仲良くなるのに時間もかかりません。

この経験は、私の人生をとても豊かにしてくれました」

併せて、GSに興味のあるレディスに向けて、メッセージをいただきました。

バイクを使わないGPSテストにて。純正ナビのバイクモードから徒歩モードへの変更方法がわからずバイクモードのまま走り回った後、制限時間ギリギリにゴールする瞬間
「GSを持ってる人へ、GSトロフィー予選にはとにかくチャレンジしてほしいです。私にはできないだろうな~と思わず、少しでも気になってる人にはぜひ参加してほしいと思います。

なぜなら、女性にはとてもチャンスがあるからです。男性と違って女性はまだまだ参加者が少ないので門が広く、本戦に行く前の国際予選への参加もBMWに全てサポートしてもらえるので大変恵まれています。その後本線まで勝ち残れば、1年のうちに2回も一生に一度の経験のできる忘れられない1年になること間違いなしです。

そして、たとえ日本代表に選ばれなかったとしても、挑戦することで同じ志を持った仲間が日本に何人もできるので良いこと尽くし。

もちろん私も次があれば、チャレンジしたいと思っています。」

本戦で魅了した抜群のライディングスキルにスピードが加わった力は、未知数です。若く勢いがあり語学も堪能なあいさんが、次に越える世界がとても楽しみです。

《矢島マーシャ》

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