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【GSトロフィー国際予選】いつも笑顔の吉田美恵子選手、「No Help!」の理由とは

全3回でお届けする、BMW Motorradインターナショナル GSトロフィー 女性チーム国際予選2019の第2回。今回は、楽しむことの天才でいつも笑顔の吉田美恵子選手のインタビューです。

バイク トピックス
感動の授賞式。支え続けてくれたマーシャル
  • 感動の授賞式。支え続けてくれたマーシャル
  • 白馬の予選会で決定した、GSトロフィー日本代表メンバーとともに
  • 4人1グループでの行動。水谷選手とは常に別行動だった
  • GPSの課題。こちらは、どのチームも苦戦しました
  • 南アフリカでの予選会で一緒だった仲間とともに。前列左からステファニー、アンドレア、カイの選手3名
  • 最高のライディングができたオフロードコース
  • ライバルだけど仲間というトロフィスト同士の一体感が生まれる
  • これがバイクの競技なのかというユニークな課題がGSのトロフィーの醍醐味でもある

全3回でお届けする、BMW Motorradインターナショナル GSトロフィー 女性チーム国際予選2019の第2回。今回は、楽しむことの天才でいつも笑顔の吉田美恵子選手のインタビューです。

「GSを通して人生を楽しむ」。職場と家の往復しかしていなかった「かーちゃん」(吉田選手の愛称。お母さんの意味)。そんな姿を「とーちゃん」(ご主人)が見かねて「かーちゃんを変えてやりたい」とタンデムで連れ出したことをきっかけに、高校時代からツーリングを楽しんでいたバイク好きの自分を思い出していきました。

気が付けば2度の日本代表チケットを手にするまでになった、かーちゃんの強さとは。

一人ではたどり着くことのできない夢の舞台

白馬の予選会で決定した、GSトロフィー日本代表メンバーとともに

「世界を目指します」。前回の南アフリカ予選を職場の人に相談した時には、「吉田がとうとうおかしくなった」なんて言われながら説明に苦戦したのとは違い、今回は「イケイケ」と快く送り出してくれた同僚のみなさま。

というのも、南アフリカの時の様子が地元紙に大きく掲載されてからというもの、見知らぬ人から「勇気と希望をいただきました!」と声をかけられたり、沿道から手を振られたり、旧友から連絡がきたりと環境が変化していったからです。

それもこれも、「一緒に練習してくれた、多くのバイク仲間や家族の支えがあってこそ」と夢の舞台への挑戦に「ありがたい」と何度も感謝の言葉を繰り返すかーちゃんでした。

出国当日の成田空港では、とーちゃんに見送られながら搭乗口へ。待合室のモニターからは、歓喜に包まれた「即位の礼」の映像が映し出されていて、その美しい雅子さんの姿が強く印象に残ったそうです。「この偶然のタイミングは、何だろう」と心に感動を覚えながら、日の丸を胸に日本を飛び立ちました。

No Help! たとえヘタでも最後まで走りきりたかった

4人1グループでの行動。水谷選手とは常に別行動だった
かーちゃんにまわってきたバイクは、「ツンツンバレリーナ」。それは、一番引きたくなかった足つきの悪いバイクでした。それでも「よろしく!」と仲良くなろうと思えたのは、南アフリカから帰国してすぐに、とーちゃんのアドベンチャーバイクのサスペンションと入れ替えて、高い車高で練習していたからだそうです。

GPSの課題。こちらは、どのチームも苦戦しました
「そう、南アフリカからずっと続いているの。その情熱がずっと」。

南アフリカでの予選会で一緒だった仲間とともに。前列左からステファニー、アンドレア、カイの選手3名

とにかく、楽しかったという予選会の中から特に印象的な3つがこちら。

最高のライディングができたオフロードコース
1つ目は、パイロンスラロームでのこと。倒しそうになりながらも地面スレスレで「ウゴォォーーー」と叫びながら、一度もバイクを倒さなかった。「Help!」と言えばすぐに助けてもらえたのに、どうしても自分に負けたくないからと、息が詰まるほど苦しかったのに「No Help!」と諦めずに最後まで走り切れたそうです。

2つ目は、ダウンヒルの克服。

「かーちゃん、行く前に絶対ダウンヒルをクリアして行け」

「GSであそ部」というSNSコミュニティーの部長がいろんな場面で言ってくれて、何度も練習を繰り返したけれども怖さが消えずに予選を迎えてしまったそうです。しかし本番では、部長の言葉と顔が浮かんできて「イケル!」と信じトライしたら見事にクリア。とーちゃんじゃなくて部長の顔だというのがおもしろいな~と感じたそうです。

ライバルだけど仲間というトロフィスト同士の一体感が生まれる
3つ目は、ハードなオフロード走行。ダウンヒルに足場の悪いアップダウン。土あり草ありガレあり岩ありと難易度が高かったと思われるコースです。その水が流れるガレ場も足をチョンチョンとついて、転びそうなところはドバババ~っとアクセルを開けて、ボックス前にはブワ~ンとアクセルターンを決められたこと。

最後は、パタンと倒してしまったものの、自分の中ではGS史上最高のライディングができたとことに、とにかくうれしかったそうです。

日本代表になって破った自分の殻。可能性を信じることでできる自分に変わっていく

これがバイクの競技なのかというユニークな課題がGSのトロフィーの醍醐味でもある
「日本代表になったおかげで、強い意志をもって未来に進むことができるようになりました。GSに乗っていただけでは、気が付かなかったと思います。

自分がダメだダメだって思ったら、ダメになっちゃうけど、できたーっ「エヘヘ」って必要だと思うんです。

自分で限界を作るのではなく、可能性を信じて、今までできなかったけど、これができるようになったから、今度はもっとできるんじゃないかって。

そうやって、今まで自分ができなかったことができるようになると、自分を好きになって進むべき道が見えてきて、自分の未来にワクワクするようになって、このような未来が用意されていたのかと、生きる糧になり自分が好きになりました。

自分が自分を好きになると今度は人に優しくなれて、人として成長できたように感じています。

私ももう年なので、そんなに怪我はしたくないとは思いながらも、また次回を楽しみにしています」

この舞台に立つこと自体が名誉
帰国後、成田空港まで迎えに来てくれたとーちゃんと娘さん、お孫さんに向かって「すみません、もう1回行かせて下さい!」と言ったところ「もう、好きなだけやりなさい」と全幅の信頼を寄せられたそうです。

実は、この出発の一週間前には、大型台風の影響で家に水が膝まで浸水する大被害にあい、ギリギリまで行けないのではという状況でした。

そんな苦難も乗り越えたかーちゃんの強さとは、厳しくも強く二人三脚で歩んできたとーちゃんとの相乗効果なのかもしれません。

「大きくて重いGSだからこそ、人生を変える力がある」と教えてくれたかーちゃん。

家族や周りの応援を糧に次回のチャレンジに期待が高まる

南アフリカから続くかーちゃんのチャレンジは、もうすでに次のステージへ続いていることでしょう。

PHOTO:Mieko Yoshida,Ai Mizutani,BMW Motorrad

《矢島マーシャ》

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