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【国井律子の乗り物ダイアリー vol.27】他愛もない会話、海岸線の景色、幸せな時間

職業は旅のエッセイストで出かけるのは大好きな私ですが、意外にもコロナ時間のステイホームも苦ではなく……。

クルマ ドライブ
いつもの尾根伝いの道を長男と歩く。夫と次男と母が待つ岬の公園まで約2キロ。鳥の声がこんなに気持ちいいなんて!
  • いつもの尾根伝いの道を長男と歩く。夫と次男と母が待つ岬の公園まで約2キロ。鳥の声がこんなに気持ちいいなんて!
  • 海の上を突っ走る、アクアライン。対岸は房総半島。
  • 梅雨の合間の完璧な青空。しかし私は、日焼け止めクリームとか帽子とか一切のサンスクリーングッズを忘れ、すべて母に借りるという……。
  • 海は広いね大きいね。この旅で「うみー」という言葉を覚えた次男2歳1ヶ月。
  • サーフィン後の御宿ビーチ。こんなモニュメントあったっけとお約束の自撮り。
  • Google先生に尋ねてみた「近所の鮮魚店!」初めて寄った御宿の魚屋にて。人なつこい猫がいました。
  • 地元でとれた魚や日本酒が食卓を賑わせます。それにしても写真左の「さんが焼き」が美味すぎる300円でした。それとは新鮮な鯵などの魚に味噌や薬味野菜などを入れ、粘りがでるまで叩いた郷土料理「なめろう」を、じっくりと焼きあげると「さんが焼」になります。
  • 店で一番高かった豆モヤシで(笑)、挽肉のピリ辛炒めこさえる。夫的に満足したようです。

職業は旅のエッセイストで出かけるのは大好きな私ですが、意外にもコロナ時間のステイホームも苦ではなく……。

いままで忙しくてなおざりにしていたコト、片っ端からやろ~っと、まずは子ども部屋を丁寧に作ったり、断舎離ついでに不要品をフリマサイトで売りまくったり、いつもなら子どもがいて食べに行けない名店のテイクアウト、毎週のように取ったりと、もうこんなこと一生の間に二度と無いかもしれない「おうち時間」を満喫していたのでした。

生き生きしている私の一方で、夫はいつもドヨンとしており、口癖は「ヒマや……」。彼の趣味はサーフィン。beforeコロナでは毎週のように海に行っていた彼です。完全にステイホームで頭の皿の水が干上がっていました。

そんな対照的な私たちでしたが、6月19日についに東京の自粛が解除! というニュースが世を駆け抜けました。どうする? もちろん出かける! とはいえ、飛行機や電車を使うような場所、混み合っていそうな場所はまずいよね……。というわけで外房にある母の家へ行くことに。最後に訪れたのが1月で、この梅雨時期に換気ができないことなど、だいぶ気になっていたんです。

海は広いね大きいね。この旅で「うみー」という言葉を覚えた次男2歳1ヶ月。
そういえば3月くらいだったか、まんいち日本がロックダウンしたら、家族みんなで外房の家に行こうか……、なんて話をしていました。しかしそういうふうに「コロナ疎開」する人たちが多かったようで、都市部からの流入が増えた別荘地では戸惑いの声が上がっている……、というニュースも多く見かけました。

誰かがいやがることはやめよう。それに万一外房でコロナにかかった場合、この片田舎では病床数も心配だし。そんなこんなで、私たちはコロナ時間中、東京で息を潜めるように生活していました。

で、窮屈な日常が一段落し、やっと動ける! 外房に行ける!!

解除になったその日の夜は金曜日でした。夫とはかねてから旅の打合せをしており、前の晩にはあらかた荷物の準備を終え、当日は子どもたちのお迎え、一緒に旅に行く母宅(私の実家ですね)で風呂、夕飯、歯磨きなど全部済ませて。子どもたちを母に託して私だけ帰宅すると、すでに夫は会社から戻っていて、ふたりでクルマに最後の詰め込み作業。予定通り21時半世田谷を出発! 完璧!!

海の上を突っ走る、アクアライン。対岸は房総半島。
首都高3号線三軒茶屋入り口のゲートをくぐると、金曜の夜の、クルマの少ないこんな景色は見たことがありませんでした。驚きながらC2にスイッチ。

それにしても久しぶりの高速道路でした。キャンパーの加速ですら、ゾクゾクしてしまって(笑)。いままではふつうにやっていた仕事上がりの旅出発。少しだけ非日常な夜の景色。そして東京湾の海の底(アクアライン)で、感動の県またぎ! 何もかもが新鮮で、完全に浮かれている私の横で夫は深いため息。どうしたの?

「阪神、また連敗や……」

これだから野球ファンは!(私は熱すぎる巨人ファンだった父の負の影響で、野球は子どものころから苦手なんです……)

大変ご無沙汰していた外房の家には23時ごろ着きました。湿気など心配でしたが、少しカビ臭いくらいで、虫が~とか、布団にカビが~とか、とくには問題はなく。私の母、そして夫と、よっぽどうれしかったんでしょうね。久しぶりの移動で興奮に包まれながらその日はなんと深夜というか明け方? 3時ごろまで焼酎をグビグビ。翌朝からは、いつもと同じような外房での楽しい時間を過ごしました。

サーフィン後の御宿ビーチ。こんなモニュメントあったっけとお約束の自撮り。
近くの海が見える公園で子どもたちを疲れさせ(言い方悪いですが 笑)、海鮮を買いに町の魚屋を2軒ほど冷やかして、子どもたちが昼寝をしている間、夫と私は夕暮れサーフィン!

ビーチには意外にもたくさんの人がいて、なぜか外国人率が高く、彼らはビーチバレーをしたり、サーフィンを楽しんだり、思い思いの夕方を笑顔で過ごしていました。

なにより私、ちゃんとサーフィンをしたのは、何年ぶりだってくらい本当に久しぶりで、一瞬ひやりとした冷たい海。でも動いているうちにスグちょうど良くなり、結局波には3本乗りました。え、1時間半も海に入ってたった3本!?

多いと思うか、少ないと思うか、復帰戦にしてはじゅうぶんな本数だったと、私自身大満足で海から上がりました。

久しぶりに遠くを見ました。ステイホーム中、ずっと近くしか見ていなかったんだなと、改めて。そして板の上に腹ばいになって、沖に向かって一生懸命したパドリング。早くも腕がぱんぱんです。

私ってまだ若いのかな。すでにアチコチが筋肉痛だ! なんて言いながらクルマに乗り込むと、ふっと夫が「もやしが食べたい」と言い出します。

もやし!?

店で一番高かった豆モヤシで(笑)、挽肉のピリ辛炒めこさえる。夫的に満足したようです。
私、もやしを欲したこと一度もないから何を作ったら良いのかわからない。でも、そこのスーパーで買って帰ろうか。一番高級なもやしを……(100円もしないけど 笑)。

そんな他愛もない夫婦の会話。海岸線の景色。なんだか幸せな時間だなぁとしみじみしながら、母と子どもたちが待つ基地へ向かったのでした。

Google先生に尋ねてみた「近所の鮮魚店!」初めて寄った御宿の魚屋にて。人なつこい猫がいました。

国井律子/Ritsuko Kunii
1975年8月25日東京生まれ。旅のエッセイスト。玉川大学文学部芸術学科芸術文化専攻卒業後ラジオレポーターなどを経て二輪雑誌からエッセイストとしてデビュー。オートバイのほか旅、クルマ、サーフィン、アウトドアなど多趣味を生かしエッセイを執筆。著書に「放浪レディ」(求龍堂)、「アタシはバイクで旅に出る」(エイ出版)など多数。近著に「進化する私の旅スタイル」(産業編集センター)がある。

《国井律子》

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