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【国井律子の乗り物ダイアリー vol.17】ラオスの首都で快適ツーリング

アメリカでルート66をドーン! となるとかなりの気合いと準備がいるものです(経験はありますが)。その点、東南アジアで乗るのは気楽なんで私的にはそっちの方が好きですね。車種はかの地でよく見かける100cc前後のスクーターですが。

バイク ツーリング
ラオスの首都ビエンチャンは歴史ある寺院や、フランス植民地時代の名残からコロニアル風の建物も点在。たくさんの見どころを110ccで機敏に駆け抜けました。
  • ラオスの首都ビエンチャンは歴史ある寺院や、フランス植民地時代の名残からコロニアル風の建物も点在。たくさんの見どころを110ccで機敏に駆け抜けました。
  • 最初はドキドキする右側通行ですが、街を1周するころには慣れてきます。交通量が少ないのと、おっとり走っている人が多いので問題なく運転できました。
  • 内陸国のラオス。陸路でガソリンを輸送する分、ラオスのトゥクトゥクは割高……というのはドライバーがよく言うイイワケ!? しかしタイなどのトゥクトゥクに比べてラオスはやっぱり高くて、旅行者からの評判も悪いですね。
  • 息を飲むような夕陽でした。しかし堤防に立ってみると、川までうんと遠いのがわかります。旅したのが乾期だったから(1月初旬)、水量が少ないのかな。
  • メコン川沿いに軒を連ねる屋台。食欲をそそられるいい匂いがあちこちに漂っています。
  • ラオスのビール、ビア・ラオ。サッパリしてとても呑みやすかったです。東南アジアに詳しい旅行者からも熱く支持されています。
  • 養蚕や綿花栽培が盛んなラオス。こんな布屋があちこちに。お土産用にスカーフなどをしこたま買いこみました。ヤブ蚊が多いので電池式の蚊よけをズボンのポケットに引っかけていますが(笑)。

海外でオートバイを借りることがたまにあります。

アメリカでルート66をドーン! となるとかなりの気合いと準備がいるものです(経験はありますが)。その点、東南アジアで乗るのは気楽なんで私的にはそっちの方が好きですね。車種はかの地でよく見かける100cc前後のスクーターですが。

タイやインドネシアの離島とか、電車やバスなど公共交通機関のないド田舎とか、のんびりした場所でオートバイを借りることが多いです。それというのも東南アジアの都会って、日本よりずっとせかせかして、クラクションの嵐だし、逆走も当たり前。交通ルールもあるような無いような、道を横切るのだってコツがいるのに、オートバイはちょっとなぁ。

日本からやって来た旅人は、完全に平和ボケしています。そんなわれわれにとって、東南アジアの路上は危険がイッパイ。……と言うわりに、じつは深刻な交通事故現場に出くわしたことはほとんどありません。軽トラの荷台からモサッとはみ出た竹が、駐車中のクルマと軽く接触……などは見かけたことがありますが……。

それにしても東南アジアのドライバーの皆さんはものすごい集中力。抜かれたら抜き返せ。まるでレーサーのように、「あうんの呼吸」でハンドルを握っている気がします。あ、そうか。「あうんの呼吸」。これこそ東南アジアの交通ルールかもしれませんね。

内陸国のラオス。陸路でガソリンを輸送する分、ラオスのトゥクトゥクは割高……というのはドライバーがよく言うイイワケ!? しかしタイなどのトゥクトゥクに比べてラオスはやっぱり高くて、旅行者からの評判も悪いですね。
そんなわけで東南アジアの都市ではオートバイの運転を控えている私ですが、ラオスの首都ビエンチャンは例外でした。結婚する前にひと月かけてアジアの国々を回ったことがありました。ベトナム→カンボジア→タイ→ラオス。最後にインドを周遊して帰国したのですが、ラオスはタイから夜行列車で入りました。

この国についてスグ人々の雰囲気とか、街に漂うおだやかな空気とか、ああ、この場所好きかも。ホテルも当たりでした。1泊20ドルとは思えないほど広くてきれいで、インターネットもサクサク繋がります。

1ヶ月分の荷物が入った重たいバックパックを宿に置き、翌日ラオス北部に位置する古都、ルアンパバーンに飛ぶためのエアチケットを買いに街へ繰り出しました。

街にはメコン川が悠々と流れています。向こう岸はタイです。川があるからか、ヤブ蚊が多い。エアチケット売り場にもちょっとピンクがかった大きなソレがぶんぶん飛んでいて、持参した蚊よけスプレーを全身くまなく振りかけました。

メコン川沿いに軒を連ねる屋台。食欲をそそられるいい匂いがあちこちに漂っています。
無事にエアチケットを手に入れて、遅いランチはメコン川沿いの賑やかなエリアへ。たくさんのレストランが軒を連ねるなか、一番混んでいる店に決めました。運ばれてきた食事は野菜たっぷり。ひき肉にハーブやスパイスを加え、ニンニクとライムジュースで和えたラープという料理を頼んだのですが、ほどよい辛みと酸味。なにより主食である餅米がやたらとおいしくびっくりしました。甘みがあって、奥が深い。

海のない内陸国のラオスでいただく食事は正直アテにしていませんでしたが、どこで食べてもそこそこのクオリティ。それに加え、街にはコンビニがあり、治安もよさそう。タビビトのツボをしっかり押さえているラオスが、どんどん好きになっていきます。

宿に歩いて戻る途中、トゥクトゥク(三輪タクシー)の男性に声を掛けられました。値段を聞くと、いきなり15ドルなどと吹っかけられ、私の目が釣り上がります。若いころから東南アジアをだいぶ旅してきたので、初めての場所でも相場はだいたいわかります。じっくり交渉してみましょうか。

結果、みるみる値崩れし、結局4ドルほどになりました(笑)。しかしながら、毎回トゥクトゥクでやり合うのも面倒くさい。だったらオートバイを借りようか。ベトナムの首都ホーチミンで12ドルで購入したヘルメットをバックパックの奥底から出しました。ええ、買ったはいいけど、このヘルメットの出番がなかったのです(笑)。

最初はドキドキする右側通行ですが、街を1周するころには慣れてきます。交通量が少ないのと、おっとり走っている人が多いので問題なく運転できました。
ちょうどいいことに宿の隣にレンタバイク屋があり、スズキの110ccのスクーター(というか原チャリ)を24時間7ドルで借りました。どんだけさっきのトゥクトゥクが吹っかけてきたかバレバレですね。

そんなんでラオスに着いて初日のビエンチャンの午後、110ccでツーリング三昧。ラオスの国章にも描かれている美しい黄金の仏塔「タート・ルアン」。ビエンチャンのランドマーク的存在であり、東南アジアの凱旋門「パトゥーサイ」。それからラオスとタイの国境に掛かる「友好橋」へも行ってみました。まさにただの国境(笑)。パスポートがないと当たり前ですが渡れません。写真だけ撮ってすぐさま退散しましたが。

ビエンチャンの往来では誰もクラクションなんか鳴らしません。煽ってくるクルマやオートバイもおらず、とにかくマイペースにのんびり。気を付けるべきは、日本と逆側の右側通行だということ。あとは、一方通行だらけってこと。でも、走っているクルマの絶対数がどの都市よりも少ないし、とくに問題はなかったですよ。穏やかな交通事情に、ほどよく離れた見所たちに……。ビエンチャンは完全に110cc向きの街でしたね。

すっかり日が暮れたころ、宿にオートバイを置いて歩いてメコン川へ。ゆっくり沈む夕陽は青がかった空をみごと紅く染め上げていました。川沿いの屋台で夕焼けをつまみにビールを一気飲み。なんという幸せな瞬間でしょう。この一杯のために私は旅してる! なんてことついつい思ってしまう。その後は一杯がイッパイに(笑)。エンジンから解放されエンドレスなビエンチャンの夜に溶けこんでいったのでした。

ラオスのビール、ビア・ラオ。サッパリしてとても呑みやすかったです。東南アジアに詳しい旅行者からも熱く支持されています。

国井律子/Ritsuko Kunii
1975年8月25日東京生まれ。旅のエッセイスト。玉川大学文学部芸術学科芸術文化専攻卒業後ラジオレポーターなどを経て二輪雑誌からエッセイストとしてデビュー。オートバイのほか旅、クルマ、サーフィン、アウトドアなど多趣味を生かしエッセイを執筆。著書に「放浪レディ」(求龍堂)、「アタシはバイクで旅に出る」(エイ出版)など多数。近著に「進化する私の旅スタイル」(産業編集センター)がある。

《国井律子》

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