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【旅エッセイスト 国井律子の乗り物ダイアリー vol.6】イヌとの夏旅も「移動するリビング」なら

私の家で飼っているイヌはボストンテリア。♀だけど「豊(ゆたか)」という名前です。ふたりの息子たちより年上の2012年10月生まれ。イヌも子どももわけへだてなく、「長女」という立ち位置で豊を育てています。

クルマ ドライブ
長男1歳の2014年夏は、キャンパーをフェリーに乗せて北海道にサーフトリップ。写真は小樽運河。
  • 長男1歳の2014年夏は、キャンパーをフェリーに乗せて北海道にサーフトリップ。写真は小樽運河。
  • 生まれて12日目の豊とご対面。まだ目が開いていません。
  • ブリーダーのおばさんの初回面接を受けるため、夫婦でオートバイで向かいました。埼玉までのプチツーリング。
  • 豊を連れ帰った2012年12月。おばさんの指示通り抱っこで。家族を新たに迎え入れるワクワクな家路。
  • 2018年10月、生後5ヶ月の次男を連れ房総の鋸山でトレッキング。前の晩、寄り添って寝る豊と次男をツマミに大人たちは南房総の地酒と地物の刺身をチビチビと。
  • 2019年4月、長野の長門牧場の駐車場にて。よく見ると運転席に……(笑)。

私の家で飼っているイヌはボストンテリア。♀だけど「豊(ゆたか)」という名前です。ふたりの息子たちより年上の2012年10月生まれ。イヌも子どももわけへだてなく、「長女」という立ち位置で豊を育てています。

彼女との出逢いは埼玉県のブリーダー。夫と結婚して1年ほど経ったころでした。イヌと暮らしたい……。ボストンテリアに興味を持ち、インターネットで検索しまくっていたらたまたま出てきたのがその犬舎だったのです。

気になってさっそく電話をかけると、「まずは会いに来い」みたいなことを少し上から目線で言われます。次の週末、夫と行ってびっくり。閑静な住宅街のなかにある大変な豪邸でした。つまりブリーダーは、大金持ちのおばさんがやっていたのです。

イヌをクルマに乗せるときは最初が肝心

豊を連れ帰った2012年12月。おばさんの指示通り抱っこで。家族を新たに迎え入れるワクワクな家路。
姿は見えませんが、お屋敷のなかにはたくさんのイヌがいるようです。にもかかわらず臭いがまったくしない。毛の一本も落ちていない。清潔な環境の犬舎を私たちは一発で気に入ったのですが、豊を譲り受けるまでじつに何度もおばさんの面接がありました。「ちゃんとうちの子を幸せにできるのか」と、厳しくチェックされるのです。3回目だったか、ようやく合格をいただき、次の週末、豊を家に連れ帰ったときの、あのワクワクした幸せな時間は忘れません。

クルマに乗せるにあたっておばさんは、「最初が肝心」と私たちに言いました。連れ帰るときは必ずイヌをひざの上に乗せるように、と言うのです。

「一番最初にクレート(犬を運搬するためのケース)に入れてクルマ移動すると100%酔うから。以降ずっとクセになっちゃうから」

まったく、おばさんの言うとおりでした。おかげで豊はぐねぐねした複雑な山道でも一度も酔うことなく、リラックスして車内で過ごしています。でもクレートに入れたことがないので、運転している夫のヒザの上に「どうしても」といった感じで乗ろうとします。それを阻止するのがちょっと大変ですけどね(笑)。

「移動するリビング」ならエアコンも完備!

2019年4月、長野の長門牧場の駐車場にて。よく見ると運転席に……(笑)。
話は変わって、旅のエッセイストを営んでいる私の家族は、やはり移動が多い方だと思います。豊をはじめ、息子たちも乗り物酔いは皆無(イヌのようにヒザの上に乗せていたわけではないので遺伝と環境のせいかな……)。6歳の長男は揺れるキャンピングカーの後部座席で、熱心にぬりえに興じています。

先日1歳になった次男はチャイルドシートでスヤスヤと昼寝。たまに「ハラヘッタ、ぎゃー!」と騒ぎ出すので、私は彼の隣でボーロを食べさせたり、車内の備え付け電子レンジで温めたミルクを飲ませたり、せっせと世話しています。豊はときどき「ヒザの上はダメ!」と夫から注意されながら、基本助手席でまったり。次の目的地に着くまで、キャンパーは「移動するリビング」。みんな思い思いに過ごしています。

夏になると閉め切った車内で飼い主に放置されたペットが亡くなるという哀しいニュース、残念だけど毎年聞きます。その点うちのクルマは安心です。買い物とか食事とか、豊をしばらく車内に残すときは、エアコンをピッ(家庭用エアコンが付いています)。予備バッテリーを3つ積んでいるので、エンジンを切っても稼働。夏は涼しく、冬はちょうどいい快適な温度をキープします。

クルマに戻ると日当たりの良い運転席で眠っている豊……なぜか彼女は必ず運転席にいます……。夫と私は、その無防備な愛おしい姿を外からしばらく眺めます。夫が窓をノックすると、飛び起きて寝ぼけ顔でキョロキョロ。その表情がたまらない(笑)。

ところで大金持ちのおばさんブリーダーですが、現在いくらネット検索しても出てきません。スマホに保存してある電話番号にかけても繋がらないのです。おばさん、元気だといいけどなぁ……。そう考えると現在、豊と幸せに暮らしているのが本当に不思議です。これを「ご縁」というのでしょうね。すばらしい偶然に感謝して、また彼女と旅に出ようと思います。

国井律子/Ritsuko Kunii
1975年8月25日東京生まれ。旅のエッセイスト。玉川大学文学部芸術学科芸術文化専攻卒業後ラジオレポーターなどを経て二輪雑誌からエッセイストとしてデビュー。オートバイのほか旅、クルマ、サーフィン、アウトドアなど多趣味を生かしエッセイを執筆。著書に「放浪レディ」(求龍堂)、「アタシはバイクで旅に出る」(エイ出版)など多数。近著に「進化する私の旅スタイル」(産業編集センター)がある。

《国井律子》

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