ママライダー座談会 <後編> 現役ママライダーに聞く、バイクとの関わり方

—ママライダー座談会ということで、世代の違う3人の現役ママさんライダーにお集まりいただきました。女性は男性と違い、妊娠・出産を経験したり、その後の子育てでバイクに乗る時間も制限されてしまうと思うのですが、みなさんはその時期をどう過ごされてきたのでしょうか? 前編に続き、こちらでは後編をお届けします。

(右から)二輪ジャーナリストの川崎由美子さん、クシタニで主にウェブサイトなどを担当している井上千晶さん、システムエンジニアの戸沢和美さん。みんな、働くママでもあるのです。


ーーーーー前編を読むーーーーー


子供を置いてバイクで遊んでいるのでは……と考えてしまう


—ところで、妊娠や子育て期間、バイクに乗れないストレスなどはありませんでしたか? 


戸沢 子供が小さい頃はそれこそ子育てに必死で、バイクに乗りたいってのもあまり思わなかったけど、少し余裕が出てきて乗れるとやっぱり楽しいですよね。うちはかなりバイク濃度が濃い家なので、乗り続けたい気持ちはキープできたけど、奥さんは乗るけど、旦那さんが乗らない家庭だと、相当な意志の強さがないと乗り続けられないんじゃないかな。 

家族でバイクキャンプに出かけることもあるという戸沢さん。バイク+クルマでのお出掛けなら、子供達も疲れ過ぎることがない。


井上 そうですよね。サーキットに行くときは子供を預けて出かけることもあるんですが、はたから見たら「子供を置いてバイクで遊んで……」と思っている人もいるかもしれない。仮に言われなくても、自分でもそう思ってしまいます。


戸沢 子育てって、夫婦だけでやるよりもたくさんの人でやった方が絶対いいんだと思う。頼れるところは頼っていいんだと。 


川崎 それでも何か負い目みたいなもの感じますよね。私も長男が2歳のときに「BAJA1000(バハ1000)」というラリーに出たんですが、自分で行きたくて出た大会なのに、レース中、子供の泣き声がオーバーラップしてきて、すごく反省したんです。でも、ラリーから戻って、あるトーク番組に出たときに、ライダーでもある女性の精神科医のお医者様に「自分は悪いことをしているわけじゃないから、そんな風に考えてはダメですよ。子供をもっと自立させなさい」と言われたんです。「子供はちゃんと見てるから安心して。愛情をたっぷり注いであげれば大丈夫なのよ」とも言われて、すごく救われました。 

BAJA1000レースに参戦するためにエンデューロレースに参加したときの川崎さん。サングラスをして大人顔負けにメカニック気取りで振舞っているのは2歳になったばかりの長男。


井上 お母さんが楽しそうだと、子供も元気でいられますもんね。 


川崎 そう、バイクと一緒にいれば元気になれますよね。レディスバイクの前編集長から、そういう悩めるママたちからたくさんの手紙が届くので、連載をやって欲しいと言われたのが1990年でした。そこで「がんばれ、ママさんライダー」という連載をやって、いろんなママさんライダーにインタビューもしました。その中の一人で、川島知子さんという方がいたんですが、彼女は女の子3人育てながら、8耐にも出ていた女性なんです。ピットでツナギのまま母乳をあげてたりしてそれは衝撃でした。 


井上 えーっ、すごいですね。  


川崎 そのときに、お母さんでもレースをやっていいんだって思ったんです。ただその連載が終わるってなったときに、編集部に「止めないで!」という投書がたくさん来て、それで作ったのがママライダーのためのグループ「MAMA’S倶楽部(ママスクラブ)」。雑誌で募集したらあっという間に200人集まりました。 

川崎さんが代表を務めるMAMA’S倶楽部のミーティング。現在は年に1回、全国ミーティングが開催されている。


ーそれだけ一人で悩んでるママライダーが多かったってことですね。 


川崎 やっぱり一番の先輩は女性ライダーであり、ママライダーの先輩がいるってことで安心できるんです。例えば自分が30代だとしても、ママを経験した40代、50代の方もいる。そういう方たちが「焦らなくていいのよ」って、言ってくれるだけで励みになるんですよね。最近は自分たちは時間があるので、若い人たちにもそういう場を設けてあげたいなと思うんですよね。 


戸沢 現地集合、現地解散のミーティングとかイベントだと、タイミングが合えば行けたり、別にママとか関係なく息抜きに行ったりできるからいいよね。バイク女子部のイベントとか、レディスバイクの”LB朝バイ”(レディスバイク主催の朝ミーティング)とか行けるときは行ってます。 


お母さんの走り方カッコいいね!って


—最近はそういうイベントに親子で参加される方もいらっしゃるようですね。 


川崎 うちも三男が最近バイクの免許を取ったので、先日一緒にツーリングに出かけたんですが「お母さんって、走り方カッコいいね」と言ってくれて、ちょっと照れくさかったですけど。 


井上 そうすると親子間の会話も変わってきますよね。私も小さい頃に父の後ろに乗せてもらうの大好きだったんで。 

幼い頃、お父さんのバイクに乗るのが大好きだったという井上さん。


戸沢 お手本になれるママってカッコいいな〜! 将来バイクに乗るか乗らないかは子供たちの判断に任せると思うんですが、井上さんのように、お父さんの後ろに乗って楽しかったって話を聞くと、そういう風になれるといいな〜と思います。将来は親子でレースとかもあったりして!? 


井上 そうですね、今のところは「ママのおんぶでバイクに乗る〜」って言ってますが、いつかミニバイクで対決できたらいいな〜なんて。上手に走れるよう頑張ります。 

R1を車に乗せてサーキット走行へ。井上さんのツナギを脱ぐのを手伝ってくれる息子さんと。


戸沢 先輩ママたちに聞くと、子供も10歳過ぎるとだいぶラクになるから、そうすると一人で乗れる時間も増えてくるよって言われるので、そっか〜と思ってます。それこそ中学生ぐらいになると今後は逆に構ってくれなくなっちゃうかもしれませんしね。 


—では最後に、これからママになるライダー、今まさに子育て中のママライダーにメッセージを送るとしたら。 


川崎 お子さんがまだ小さいとき、そうですね、小学生ぐらいまでは一番大切な時期だと思うので、そのときにたっぷり愛情をかけてスキンシップを取ってあげて下さい。そして、その中でママとしてのバイクライフがエンジョイできるのであれば楽しんで欲しいですね。仮にバイクを手放したとしても、最近はレンタルバイクとかもありますし。 


戸沢 確かに!いい時代になったよね。それに今はSNSでいろんな情報も手に入るし、乗りたいと思えば乗れる状況にあるもんね。 


川崎 そうなんです、これでなきゃいけないってことは全然ないんですよ。だから安心してママライダー生活を満喫してもらいたいと思います。 



<プロフィール> 

 川崎由美子/Yumiko Kawasaki 

 二輪ジャーナリスト、モーターサイクルエッセイストでありながら、音楽家という一面も持つ。二輪雑誌「レディスバイク」では“不安よさらば”を連載中。またラジオNIKKEI RN2「ライダース」では、バイクとピアノのコラボ企画“由美子の部屋”出演中。ママさんライダーのグループ「MAMA’S倶楽部」を主宰。 愛車はカワサキ ZRX1200R、カワサキ KSR110。


戸沢和美/Kazumi Tozawa 

8歳と6歳の子を持つママライダーであり、システムエンジニアでもある。愛車はドゥカティ 900SS、ドゥカティ モンスター900、LML スター デラックス125。キャンプツーリングでは親子タンデムで出かけることも。レース観戦&参加も大好きなアクティブママ。 


井上千晶/Chiaki Inoue 

バイク用品メーカー「クシタニ」でウェブサイトなどのIT事業を担当。もうすぐ4歳になる男の子のママ。ご主人や仲間と共にレースも参戦している。愛車はヤマハ YZF-R1とレース仕様のホンダ NSR50。R1は通勤や保育園の送り迎えにも乗る。


text_Yuko Matsuzaki photo_Yumiko Kawasaki、Kazumi Tozawa、Chiaki Inoue 

撮影協力_BUNNY BEACH

Lady Go Moto !

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