二輪のお仕事教えて!/造形社・ガールズバイカー編集部 原田英里さん

バイクを仕事にするって楽しい? 二輪業界で働くバイク女子に色々聞いちゃうこの企画。 

第3回目は、造形社が発行する女性のためのバイク雑誌「Girls Biker」で編集長を務める原田英里さんです。 

原田さんが普段アシにしているのは、昨年友人から買ったカワサキのDトラッカー改。今後自分の好みにカスタムに仕上げていくそう。

ー「Girls Biker(ガールズバイカー)」の創刊は2006年だそうですが、原田さんがこの仕事に就いたのはいつ頃からですか? 

原田 造形社に入社したのが24歳のときなので、編集の仕事を始めて今年で13年目になります。ガールズバイカーは創刊号から関わっています。 

ー13年ですか、長いですね!ところで編集部に入ったきっかけは何だったんですか? 

原田 私、地元が神戸なんですが、大学を出てしばらくは化粧品販売の仕事をしてたんです。でもその仕事に違和感を感じて辞めてプラプラしているときに、友人のバイク乗りの男の子から「バイク雑誌の編集部で働くことになった」という話を聞いて、へー、そんな仕事があるんだ……と初めて雑誌を作る仕事があることを知りました。 

—ということは、そのときはすでにバイクには乗っていたと?

原田 はい、うちは父親がバイク好きで、私も小さい頃から父のバイクの後ろに乗って釣りに行ったりしていたので、いつも身近にバイクがありました。住んでいるのが神戸の田舎の方だったのでヤンキーが多くて(笑)、高校時代には周りでもバイクに乗っている子が多かったけれど、父からはクルマの免許を取ってからじゃないとバイクはダメと言われ、18歳で四輪の免許を取って、そのあとすぐ二輪(中型〜大型)の免許を取りに行きました。 

—免許を取って最初に乗ったオートバイは? 

原田 父が所有していた新車のモンキーです。そのモンキーのエンジンをチューンしたくて、大学生のときに人生で初ローン。華の女子大生がエンジンカスタムのためにローンを組むなんて、あまり聞かないですよね(笑)。とにかくイジったりカスタムしたりするのが好きでした。いま所有しているのは、リトルカブやCL70など合計7台で、実家と東京に分散して置いてます。老後は不動のバイクを直しながら時間を過ごせたらいいなと思ってるんですよ(笑)。 

カスタムするのが好きという原田さん。ホンダ・XR80はクラシカルな雰囲気のCL72レプリカに。

—若い頃から筋金入りのバイク好きですね。となると、今の仕事もなるべくしてなったという感じでしょうか。 

原田 じつは化粧品販売の仕事を辞めたあとに、バイクショップに面接に行ったことがあったんです。私は店舗の仕事をしたかったのに「倒れた大きなバイク、ひとりで起こせるの?」と言われて。どうやら女性の募集は事務だけだったようで。でも、バイク雑誌の仕事なら男も女も関係ないかもと思い、スタッフ募集していた「モトモト」編集部の面接を受けたら合格。そのあと上京しました。 

—最初はモトモト編集部に配属だったのですか? 

原田 そうです。その数ヶ月後にガールズバイカーが創刊されることが決まって、当時バイクの定期誌が4冊あったんですが、それぞれの編集部に女性がいたのでその女性たちが集まって4人で作りました。2006年10月のことです。最初は不定期誌でしたが、そのあと季刊、隔月刊、月刊になり、現在は隔月刊で発行しています。 

左は2018年6月30日に発売された最新号。右は2006年に発行された創刊号。スナップ特集は当時から人気の企画。女の子たちがどんなファッションでどんなバイクに乗っているかよく分かる。

—入社早々、2誌の編集をかけ持つことになりましたが、大変じゃなかったですか? 

原田 文章が得意なわけでもないし、編集の学校に通ってたわけでもないので、最初は正直、右も左も分からない状態でした。しかも朝出社すると、みんな徹夜明けで床で寝てたり、これはヤバいところに来てしまったなと(苦笑)。でも最近は働き方も変わってきていて、とくに若い子たちがドライなので、昔ほど悲惨な状態は目にしなくなりました(笑)。 

—現在、ガールズバイカーさんは奇数月1日発売の隔月刊発行ですが、スケジュール的にはどんな感じで進行していくんですか? 

原田 次号は9月1日発売なので、締め切りは8月20日ごろです。本来なら前号が終わったら早々に内容を決めて取材するんですが、締め切り直前に入ってくるニュースがあったり、ギリギリになってアレも入れてコレも入れてとなるので、結局、締め切り前1週間ぐらいに色々集中しちゃいますね。 

編集作業中や原稿を書くときはひたすらパソコンと向き合うことに。取材では全国各地を飛び回りますが、こういう仕事があるからこそ雑誌が出来上がるのです。

—2011年からはガールズバイカーの編集長を務められていますが、編集長になって変わったことはありますか? 

原田 一番は予算のことを意識するようになりました。経費削減することもあれば、営業スタッフと一緒に広告営業に行ったりもします。その一方で、例えば雑誌で使う紙について自分の意見も反映できるようになったので、よりイメージ通りの本作りができています。色々勉強する部分も多いですが。 

モーターサイクルショーをはじめとした二輪イベントでは、ガールズバイカー編集長としてトークステージに立つことも。雑誌のPRにもなります。

ー現在、ガールズバイカー編集部はスタッフは何名いらっしゃるんですか? 

原田 今は私ひとりです。企画も一人で考えることが多いんですが、そうすると内容が偏ったりマンネリ化するので、最近は外注の編集ライターさんに企画段階からお願いすることも多いです。あ、でも、今発売中の号でも告知していますが、現在編集スタッフを募集中なので興味がある方がいらしたらぜひ!

原田さんが手がける「カブ only」のムックでの撮影のヒトコマ。これはモデルさんのTシャツのサイズ調整をしているところ。編集とはいえ、スタイリスト仕事や撮影補助などもこなします。

—では雑誌作りの魅力を知ってもらうためにも、原田さんが編集部に入って一番楽しかったことを教えてください! 

原田 取材では初めて経験することもすごく多くて、ハーレーの海外試乗会でスペインを走ったり、北海道や沖縄をバイクで走ったり、レースデビューもそうですよね。中でも印象的だったのは、ホンダのMotoGPマシンの公道バージョンである、RC213V-Sを世界中の女性で初めて試乗させてもらったことでしょうか。編集長だけが参加できる試乗会だったのですが、2000万円するという話を聞いて、サーキットだったのに80キロぐらいしか出せず……(汗)。でも本当に貴重な体験をたくさんさせてもらってます。 

「33歳からのレースデビュー」という企画でこれまで「DE耐」や「ちょっとDE耐」に参戦してきた原田さん。直近では7月15日の「ちょっとDE耐」に女性だけのチームで参戦予定。結果は次号にて!

—逆に大変だな〜と思うことは? 

原田 長時間のデスクワークかな。同じところにじっといなきゃいけない状況が苦手かも。取材に行くためクルマでの超長距離運転……なんてのもタイヘンですね。でも言い換えたら、毎日同じ日がないからすごく楽しいです。2ヶ月に1度雑誌を出すというルーティンワークではあるんですが、日々違うんです。

—じっとしていられない性分なんでしょうね。バイクに乗る女性はそういう人が多いかも。では、編集の仕事に興味がある女性に一言アドバイスするとしたら。 

原田 もし雑誌作りに興味があってやってみたいと思っているなら、まずは一度やってみるといいと思います。編集の仕事は大変ですがそれは自分次第でどうにでもなるので。私は締め切り前にアタフタする方だけど(笑)、しっかりやっている人は徹夜もしていないですし。あと募集要項に何歳までと書いてあっても意外とゆるかったりするので、まずは興味があったらチャレンジしてみてください。バイクが好きで、好奇心旺盛だったら向いていると思います。本を読んだり、文章を書くのが好きならなおさらですね。 

被写体として誌面に登場することも多い原田さん。モットーとして、業界で一番楽しそうにバイクに乗るよう心がけていて、だからいつも満面の笑顔。

—原田さんもそうやって二輪雑誌の業界に飛び込んできたお一人ですもんね。 

原田 私が雑誌が好きな理由のひとつとして、東日本大震災のときに津波で色々なものが流されていた中で、泥だらけになりながらも紙の写真が残っていたのをテレビで観たんです。これがハードディスクだったらデータは残ってないだろうなと。そう思ったときに紙は無くならないんだと思ったんです。あと、雑誌に自分や友人が載ると嬉しいですよね。そういった気持ちがみんなにまだあるってことは、雑誌という文化はまだ特別なものとして残っていけるんじゃないかなと。だから「じゃあ、また次も頑張ろう」という気持ちで長年やってきているのかも。でもこれがバイク雑誌じゃなかったらここまで長くは続けられなかったかもしれませんけどね。


text_Yuko Matsuzaki

photo_Girls Biker、Yuko Matsuzaki


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